蕎麦にだってTPOというものはちゃんとあると思う。

昨日の品川・小田原間の架線故障による新幹線のダイヤ遅延で名古屋駅のホームで三時間立ち尽くすはめになった。

僕はひたすら待つしかなかったが別の同僚は名古屋の親戚の家に泊まった。

応用力の差が出ているんだと思う。僕はプランAに固執してしまう。「プランBに切り替える」ということがなかなかできない。

身動きが取れない新幹線の中はほとんどがサラリーマンでみんな一様に疲れた顔をしていた。

トイレに行きたくなって社内を移動したんだけれどみんなできるだけ僕を通す努力をしてくれた。

帰ってきたら僕のいた空間はちゃんと空いていた。


大勢のサラリーマンが去った駅のホームでしばらく立ち尽くして、ふと我に返って蕎麦屋に入った。店員二人がシフトについて協議していた。麺は大阪環状線蕎麦屋のように生めんではなかったけれど逆によかった。

4時間、寒い中立ち尽くした後に食べる場合は高嶺の花の生めんより、いつも食べなれているソフトな蒸し蕎麦のほうが体にいいような気がする。

そばを出してくれたおばちゃんの「熱いから気をつけてね」という一言が何故か心に響いて涙が出そうだった。