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久々に雨降りで靴を濡らして歩いた。傘の差し方は一向にうまくならないしその他もろもろもうまくいかない。でもうまくいき過ぎても後々、よくない気もする。
すんなりいかないことばかりでただ前よりは出来ている気もする。
いつかちょっと晴れる時が来ると思って傘をさして歩くしかない。
雨雲は流れていかない。自分の足で晴れた場所を探すしかない。
大事なものを詰めた鞄も濡れる。でも気づいて抱きしめて歩けばそれ以上は濡れない。
大丈夫、濡れたものはそのうち乾くし大事なものもダメになってない。
靴も濡れて歩くのも心地悪い。でも替えの靴なんて持ってない。
歩くしかない。木陰で雨宿りするのもいい。
傘で遮られて見上げることを忘れるけれど足元の濡れた植物はきれいだ。
落とし物をするかもしれないが探しさえすれば見つかる。おみくじと一緒。
まったく同じものは見つからなくても代わりになにか見つかる。
誰かと同じ場所には立てない。俺と君はまったく違う。
心地いい場所も違うはずだ。目指すベンチがあることは知っている。
万人がうらやむ場所なんて幻だ。渡された地図は悪い冗談だ。
そこに目指すべき場所は記されていない。破り捨てろ。
靴下は濡れて気持ち悪いがパンツまで濡れてはいない。上々だ。
小雨になった。さあ、お別れだ。よい旅を。